塚田トオル's Blog

還暦間近のおっさんが綴る雑記録

『湯を沸かすほどの熱い愛』W座 ★★☆☆☆ ネタばれ

湯を沸かすほどの熱い愛 通常版 [DVD]

一つには家族というものに血のつながりがはさほど重要じゃないということ、しかしいくつになっても、実母への愛は忘れられないということ。例えそれが、身勝手な理由で自分を捨てた母であっても、である。
信濃八太郎も小山薫堂も「泣けた、泣けた」(特に信濃八太郎)の大絶賛だったが、僕には全体を通じてあまり心に響くものがなかった。当然、いわゆる泣ける部分もなかった。
突然、家から出て行って行方不明になってしまうようなちゃらんぽらんな夫のオダギリ・ジョーははまり役だし、突然末期癌を宣告され数ヶ月後には緩和ケア病棟で麻薬漬けにされてしまう宮沢りえは痩せ具合といい本当の病人にしか見えず直視できなかった。たまに丸々太った健康体の女優を癌で死ぬ役に使う場合があるが、あっちの方がどこか痛々しい現実を和らげる効果があって見る側には調度いいのかも知れない。
ラストについては賛否両論あるだろうが、死んだ宮沢りえを釜で燃やしてその沸いた湯で銭湯に入るというのは、ちょっとやり過ぎではないか、と僕は感じた。
あれによってファンタジーとしての要素が深まったという意見もあるそうだが、僕にはファンタジーでもホラー感の方が強く感じられてしまった。