塚田トオル's Blog

還暦間近のおっさんが綴る雑記録

『シークレット・イン・アイズ』

FBI捜査官キウェテル・イジョホーの同僚であるジュリア・ロバーツの娘がレイプされ殺された。
事件が起きたのは2002年。彼らは検事で野心家のニコール・キッドマンらとともにテロ対策に明け暮れていた最中の出来事。当時は次の大規模テロを未然に防ぐことが安全保障の至上命題で、ティーンエイジャー一人のレイプ殺害事件など、まともに取り合ってもらえなかった。
容疑者と目されたのは、テロ組織に潜入している子飼いの情報屋。彼を逮捕してしまうとテロ組織の情報が入ってこない。一旦は任意で引っ張ってきたものの、上司には叱責され、情報屋も当然のように証拠不十分で釈放されてしまう。
キウェテル・イジョホーはそんな警察組織に嫌気がさし、FBIを辞職。ジュリア・ロバーツも茫然自失、生きがいだった娘を殺され、魂の抜けた屍状態に。
ニコール・キッドマンは辛うじて検事局の中で出世し、LAで資産家の夫と結婚生活を続けていたが、そこへ13年間自責の念から前科者の写真を毎日1,000人以上見続け、とうとう真犯人のジョー・コルホーを見つけた!、とキウェテルが突然LAに舞い戻ってくる。
周囲から冷ややかな視線を送られつつも、かつての同僚たちと再び犯人逮捕に乗り出すキウェテルだったが、娘を無残に殺された当のジュリア・ロバーツがあまり乗り気でないことに違和感を覚える。ニコール・キッドマンとかつての同僚二三人だけが頼みの綱の状況の中、キウェテルは自分が真犯人と思っている男を追う。
男を見つけ出し、同僚の力も借りて車の窃盗容疑で逮捕。だが男はジュリア・ロバーツの娘を殺した犯人とは別人だった。考えてみればジュリア・ロバーツもそもそも13年前の事件の再捜査自体を歓迎していない様子。なにかがおかしく不自然。さて衝撃のラストは(ネタバレになってしまうので書きません)。
いろいろと突っ込みどころ満載の映画。そもそもジュリア・ロバーツの老けっぷりがすごい。ニコール・キッドマンの「まだ女を捨ててないわ」感との対比で、よけいに年を取って見える。カメラマンは実際の夫のダニエル・モダー。カメラを通してしわしわに老け込んだジュリア・ロバーツを見て、どう思っんでしょうね、という小山薫堂の問いに、「やっぱり家の奥さん天才だな。こんな役もできるんだって思うんじゃないですか?」とすかさずフォローを入れる信濃八太郎。小山薫堂の若い女好きがバレる。
それにニコール・キッドマンとキウェテル・イジョホーの関係もおかしい。テロ対策でNYからLAに派遣されていたキウェテルは、ニコール・キッドマンに一目惚れ。でも立場の違いから好きだとは言い出せず、FBIを辞めてNYに戻るときも「一緒に来てくれ」とは言えなかった。それから13年も経ち、お互い家庭も持ちつつ、LAに舞い戻ったキウェテルに「あの時、一緒に来いって言ってくれたら」みたいな台詞を思わせぶりに見つめ合いながらつぶやくニコール・キッドマン。あんなのあり得ねぇって。もともと肌の色も違う美女と野獣カップル。しかもニコール・キッドマンにはIT関連企業を経営しているイケメンの夫もいる。
この二人の恋バナが映画全体のサスペンス感を損なっているし、細かい部分で辻褄の合わないところはあるし、ヒットしたのかしなかったのか知らないけれど、どうしてW座でわざわざ取り上げたのかよくわからない。はっきり言って駄作。