塚田トオル's Blog

還暦間近のおっさんが綴る雑記録

『SEVEN』

デヴィッド・フィンチャーの作品では、『ベンジャミン・バトン 数奇な運命』が最高の作品だと僕は思っている。
そして、この『セブン』を見たときは余りの救いのなさに愕然とした。
けれど内容が濃いので、繰り返して見ても面白いし、その都度鑑賞に堪える映画だ。
キャスティングの妙もある。慎重で知性的、終始落ち着いた行動を取る刑事のモーガン・フリーマンとその真逆の性格のブラッド・ピット。ブラピの妻を演じる繊細な雰囲気のグウィネス・パルトロウ
舞台になるのは、いつも土砂降りの雨の降っている暗い街。シカゴだか何だか多分そんな感じの街だ。
 
この映画の中で一番好きなシーンは、薄暗いカフェで、無鉄砲ですぐに感情的になる子供っぽいブラッド・ピットが心配だ、とグウィネス・パルトロウモーガン・フリーマンに相談するシーン。
グウィネス・パルトロウブラッド・ピットの子を宿したことを打ち明けられずにいた。
産んだ方がいいのか産まない方がいいのか。こんな危険で救いのない世の中に、子供を産んでいいのか、というような意味の相談をする。
モーガン・フリーマンは彼女の話を黙って聞き、産まないなら妊娠のことは言うな、と言う。
ももし産むのなら精いっぱい甘やかして育ててやれ、とアドバイスする。またいつでも相談に乗るよ、と。
モーガン・フリーマンの他者に対する優しさが伝わってくる、この映画の中で唯一救われるシーンだ。
ケヴィン・スペーシーのサイコキラーもはまり役。
リアリティーがありすぎて怖い。