塚田トオル's Blog

還暦間近のおっさんが綴る雑記録

『友罪』


勘違いしていた。
何と?『光』と。
『光』は三浦しをん原作のサスペンス。大森立嗣が脚本、監督の映画だ。
瑛太が厄介な悪人を演じている。もう一人の主役は井浦新。関係ないけど、この映画を撮った大森立嗣監督は千鳥の大吾にしか見えないなぁ。

『有罪』は瀬々敬久監督。薬丸岳の小説が原作で、主役の瑛太は子供の頃、連続児童殺傷事件を起こしている人物。
調べてみたら平成の実際の子供の連続殺傷事件は88年から89年にかけて宮崎勤の起こした「埼玉連続幼女誘拐殺人事件」と、酒鬼薔薇聖斗で知られる1997年に「少年A」が起こした神戸のものと、有名なものは二つあるんですね。少年Aは少年院を出た後、今も観察下に置かれながら普通に社会で生活している。一方の宮崎勤は事件を起こした時の年齢が26歳。女の子ばかり4人もの幼児を殺害していて、死刑判決が確定し2008年に死刑が執行されている。
でね、『友罪』の話なんだけど、瑛太の心境は分かるんですよ。幼い時に二人の子供を殺して、その罪の意識に苛まれつつも、過去の事件が邪魔して、仕事も人付き合いも上手く行かないっていうね、そういう生活を強いられてる。精神的に未成熟で、知能の発育遅滞もあるような。まあ簡単に言えば生い立ちからして苦労ばかり強いられてきた、準精神疾患患者ですよね。

一方、生田斗真の方はよくわかんないんですよ。彼の心境が。ストンと腑に落ちない。
中学生の時、親友のいじめに加担した挙げ句、「これから死ぬよ」みたいな電話を掛けてきたその親友を「勝手にすれば」という冷たい言葉で突き放してしまったことを、今でも夢に見て魘されるほど後悔している。雑誌の記者だったのに、雑誌の運営方針が自分の主義主張に合わなかったったのか、その辺りは詳しく描かれてないんでよく解らないんだけど、それで記者を辞めちゃって、瑛太と同じ町工場で劣悪な職場環境で単純な肉体労働をしてるんですね。町工場では、瑛太もちょっとおかしなところがあるから、周りからは敬遠されちゃうわけですけど、生田斗真だけはそんな瑛太に普通に接してやってる。まあ自分と同じ闇を抱えてる境遇だからってことなんでしょう。でもね、連続殺傷事件と死ぬほど困ってる親友をある意味見捨てちゃうことと、同じ次元なのかな、と、そこが引っかかるんですね。人の命が失われるという点においては同じなんだろうけど。
ああ、でもここまで書いて、何だか実際に殺すのも、間接的に死に関わるのも同じことなのかなって気もしてきました。人の命が無くなるっていうのは同じですもんね。