塚田トオル's Blog

還暦間近のおっさんが綴る雑記録

戦争について

毎年この時期になると広島と長崎に落とされた原爆、戦時中の内外の様子などのドキュメンタリー番組が放送される。太平洋戦争での体験を記憶して存命の方はまだまだ多いが、ほとんどは80代なので、記憶に留めているのは少年少女時代の本土での経験であり、実際に戦地に赴き戦闘に加わった経験を持つ人は、だんだん少なくなっている。終戦から72年も経てば当然のことだ。おそらく2050年ぐらいには、すべての国民が戦後生まれということになるに違いない。だからドキュメンタリー映像として仮想的にも先の日本の戦争を体感できるような資料を残しておくことは重要であるが、ただそれは俯瞰的に捉えたものではなく、誰がどこでどんなことを言ってどんな行動をしたかを、できるだけ細かく調査し残しておくことが必要なのだろうと思う。
この間のNHKスペシャル『本土空襲 全記録』『731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』『樺太地上戦
終戦後7日間の悲劇』は、ネトウヨの方たちの評価はイマイチのようだが、僕としてはなかなか見応えがあった。
例えば731部隊。東大や京大、旧帝大の医師たちが、士官より上の立場で満州に赴き、現地の中国人を細菌兵器などの人体実験に使用した。赤痢チフス菌の水溶液を飲ませたり、びらんガスを吸わせたりして、その人間が死ぬまで実験を繰り返した。その犠牲者の数は5,000人とも6,000人とも言われる。ちなみに戦争における生物兵器の使用はそれより遥か以前、1925年のジュネーヴ議定書により禁止されている。ナチスが行ったホロコーストに比べれば人数は少ない。だが片やドイツがナチスの高官を地球の裏側まで追いかけ、その責任を厳しく追及しているのに対して、日本の場合、731部隊で人体実験を指示したエリート医師たちは、何の責任も追求されないどころか、戦後、大学や民間企業に戻り重職に就いている。この責任を敢えて明確にしない日本人の国民性は、後のサリドマイドやキノホルム(スモン)に始まり、ミドリ十字と旧東大系の医師たちによって引き起こされた薬害エイズに代表されるような数々の日本の薬害に通じるものがある。
樺太」の地上戦については、「戦争終結」後にも関わらず、あのような悲惨な戦いが繰り広げられていたことを、まったく知らなかった。